岡本外科クリニック
〒422-8006 静岡県静岡市駿河区曲金4-7-3
054-202-0108 (おーい おっぱい)
* ホーム婦人検診バスでの乳がん検診に関する講話(テキスト・音声) > 第一部
*
おはようございます。外科の岡本と言います。
私のほうは外科ですんで、乳腺の検診のほうの担当をします。
毎年来てみえる方も多いと思いますけれども、初めての方もおいでになると思いますので、同じような話になるかもしれませんけれど、ちょっとしばらくの間おつき合いいただきたいと思います。

この検診は、手元に赤白、縁起のいい紙が配られていると思いますけれども、その白いほうですね。 一番上のところに乳がん検診票と書いてあって、右上に静岡市と書いてる紙がある。 こちらのほうが乳がんの検診の紙になってます。

まずこの検診の説明をするんですが、最初にお願いしておきたいことがあるんですけれども、赤い紙のとかなり内容が重複することがあります。
ただ、面倒くさくても両方にちゃんと記入をしておいてください。というのは、見る位置がバラバラですし、出すところも違います。
ですから、両方にちゃんと書いていただかないと話が伝わってきませんので、面倒でも全部書いておいていただきます。
書いてもらって困るのは一番下の所見というところですね。お乳の絵の描いてあるところです。ここは私が書くところなんで、お書きにならないように。といっても、これだけ人数いると、もう既に一人二人丸をつけてる方がおられるようです。書いちゃった方は消さなくていいですから、これから書く方はそこから下は書かないこと。その代わり、そこから上、全部埋めといてください。
というのは、それ、もし書いてないと、上半身はだかんぼのまま次の方を待って、私が聞きながら書くことになる。あんまりほとんど書いてない人はちょっと後に回ってもらって、書いてからという形になりますので、あらかじめちゃんと全部書いておいていただきたいと思います。わからないこと、なるべく思い出して書いといてください。まず、それ、よろしくお願いいたします。

それから本題の検診の説明に入りますが、きょうの検診、これは靜岡市の検診なんですね。
住民検診みたいなやつです。
職場で検診を受ける方以外の方に問題がないかどうかをチェックするために市がやってる住民検診の一環です。
それで、皆さんのところにたいてい年に一遍はがきが来ると思います。今年はクリーム色のが来ていると思いますけれども、それの一環のやつですね。
この検診はもともとは老健法という法律に基づいた住民検診なわけです。
で、各市町村が担当してやることになっています。乳がんに関してもずっと前からやってこられて、87年ごろから、ずっと前からやってるんですけれども、ごめんなさい、78年だったかちょっと忘れちゃいましたけれども、かなり前からやっている検診ですけれど、触るだけ、視触診といいまして、見て触る検査でずっとやってきたやつです。で、法律に基づいてやってこられたんですけれども、98年以降は法律の縛りがとれております。各市町村の判断でやる検査という形になってます。
もともとその法律で定められて、どういうことをやるかというのは、視触診、見て、触るという形だけの検査でっていう形でやってこられたのがそのままなってますが、今、かなり乳がんが増えてきて、この視触診だけで十分かって話が出ています。
かなり前から乳がんに関わる6つ、7つの学会がいろいろ研究とか検討をして、それにプラスアルファの検査をしてやったほうがいいんじゃないかという形で検討されてきました。
ただ、これは普通の一般の病院で行われる乳がんの診療とは違って、検診です。検診というのは症状が何もない、特に気になることがない人がチェックを受けて、問題があるかどうかをチェックを受けるというのが検診です。ですから、精密な診断にはならないですね。

そういうレベルでやることについて、どういう形をやったらいいだろうかということが、要するに費用もかかります。
それだけの効果がどれだけ得られるかってことなんかを研究した結果、2、3年前に厚生労働省のほうから通達みたいな形でいわれたのは、視触診に加えてレントゲン、おっぱいを挟んでレントゲンで撮る検査です。乳房X線撮影、横文字でマンモグラフィーっていいますけど、これを併用してやろうと。超音波とどっちがいいかとかいろいろ検討の結果、それでやろうという形になりました。
超音波は超音波で大事な検査なんですけど、一応検診に合った形で効果と考えてどういうのがいいのかということで結局マンモグラフィーになったってだけで、マンモグラフィーが一番優れているというわけではないんですが、そういう形でそれを併用した検診というのを方向として目指していこうという形になっています。

各市町村に後は委ねるという形になっています。今、静岡市は今まだやってないですね。
こうやって視触診だけです。で、今、かなり急激な動きがありまして、近年、静岡市もマンモグラフィーの併用検診を始める予定になっているようです。
ただ、実際どれだけの精度というか正確さを持った検診ができるかというと、まだまだ疑問の段階ですけど、とりあえず始めなければという形で、今、準備がされている段階であります。まだ準備の準備ぐらいですかね。そういう形でやってます。
要するに、触って、見たり触ったりするだけでわからないものを、ほかのものでチェックをするという形のために、それをプラスしてやるようになってるわけですけれども、そのマンモグラフィーというのも挟んでレントゲン撮るもんで痛いですよね。
それから被爆という形のもあります。いろいろ費用とかそういう研究の結果、最初言われたのは、50歳以上で2年に1回、お乳を挟んでやるのを混ぜて、それで検診をやると。触るのもあわせてやるという形で推奨されています。
ただ、50歳以上でいいかという形もあって、40歳以上に引き下げて行われるという可能性も出てきておりますけれども、今後はそういう形にいくだろうと言われています。じゃあ、それで十分なんですかって言うと、私の個人的な意見でありますけれども、本気で見つけようと思ったらそれじゃあ全然足りないです。もちろん検診だからそういう形でやるっていう形で、本当に乳がんがないかどうか見ようという形になると、診療レベルで調べなきゃどうしても十分じゃないという形になります。

我々が病院で診療でやるのはどういうことをやってるかというと、その視触診をもちろんやります。
それから、さっき言ったマンモグラフィーってお乳をレントゲンで撮るという、これを縦横2方向ずつ、最低4枚撮るんですね。
で、異常があれば追加して撮るという形をやっています。さっき言った検診の1枚だけと、2枚以上になるというのは随分情報量が違ってきますので、そこでまた全然検診のマンモグラフィーとはレベルが違ってきます。
あとは超音波もやります。エコーってやつですね。ゼリーを塗って、こうやって機械で見るやつですけど。これも非常に重要な検査なんで、乳がんのチェックをするのにはその視触診、マンモグラフィー、超音波、この3つが必ず必要になってきます。

そういう形でチェックした上で、針を刺したりとか、いろんなことをやって診断をつけてくんですけれども、それじゃあ検診はどうするかっていったところでは、今、触るだけ。それで近い将来は触るのに胸に一遍、一方向だけの斜め一発のレントゲンを撮るという形になってはいくと。
ですから、ましてや今のところはきょうの検診は触るだけですから、一番原始的な方法で、もちろん視触診、非常に大事な検査なんですけど、一番原始的な方法でやるだけです。
怖いのは、ここに乳がん検診票と書いてあります。きょうそれで触って、ほとんどの人のところ、私は異常なしに丸をつけることになると思います。
それを字面だけとりますと、乳がん検診票異常なし、私は乳がんがないんだろうと思いたい気持ちはよくわかりますけれども、今、言ったような理由で、この検診で異常なしだけで、乳がんがないということはとても言えないんです。
それを最初に間違えないようにちゃんと覚えておいていいただきたいと思いますね。
これで安心しちゃうのは怖いよということです。触ってわからない、わかりにくいがんなんかいくらでもありますので、これで安心しちゃわない。
さっき怖いと言ったのは、それで安心をしちゃってですね、例えば今まで何となく二月、三月にいっぺんくらいお乳触ってたよって人が、安心しちゃって何も触らなくなったりする可能性はあるわけですね。それが怖いですね。
何となく触っていれば、ある程度になったところで気がついてたものを、安心しちゃって触らなくなっちゃったがために、余計大きくなるまで気がつかなくてという話です。